見ていて気持ちが悪いです。
ひとことで言うと、子供らしさが感じられないのです。
特にその子が親と一緒にいる時は余計にそのように感じます。
明らかに家でも躾られていることがわかります。
親にとってはきちんと挨拶できる子どもに育てていることがとても自慢なのだと思います。
「偉いね、きちんと挨拶できるんだね。」と言った時の、お母さんの自慢げに喜ぶ顔を見た時は気の毒になりました。
小学校の低学年で躾ができていること自体が、無理やり教え込んでいることの表れだと思われます。
もちろん他の人に迷惑をかけることはいいことではありませんが、それをわからずに迷惑をかけるのが子どもです。
迷惑をかけながら注意をされながら、人に迷惑をかけてはいけないと学んでいくのです。
人に迷惑をかけたこともないうちから、迷惑をかけてはいけませんと教え込まれても、どういうことが人に迷惑をかけることなのかよくわかっていないのです。
子どもはわけもわからずに周りに迷惑をかけるものです。
それが子どもです。
その迷惑が大きなものにならないように防ぐために、保母さんや先生や親がいるのです。
日々人に迷惑をかけることを子どもに教えることによって、初めて子どもは人に迷惑をかけることの具体的なことを学ぶのです。
挨拶も同じです。
こういう挨拶をしないといけないと躾けられながらも、ある時は知らない人と話をしてはいけませんと言われます。
悪だくみをしていても、積極的に挨拶をされたら反対に委縮してしまうものです。
挨拶を習い始めた子供が、町内で誰彼かまわず挨拶を投げかけている姿は、本当に子供らしくて微笑ましいものです。
周りの大人たちが普段の挨拶をしていれば、そばにいる子どもたちは自然と挨拶をするようになります。
しかも、その子らしい自分のあいさつをするようになります。
取って付けたような挨拶ではなくて、子どもらしい挨拶をするようになります。
子どもに対する躾は、子どものために行われているのではなく、親の体裁や満足のためになされていることの方が多いのではないでしょうか。
子ども自身のためでなく、子どもの態度を通してなされている世間や学校からの自分への評価を気にしてはいないでしょうか。
しかも、現実的・具体的な評価ははっきり見えないために、自分で勝手に作っている評価基準になっています。
そのために、基準が常に揺れ動いていますので、子どもに対する要求も程度が定まりません。
周りと異なることが、決して評価されることにならないことを感じてしまっている親がとても多いです。
自分たちが育ってきたのがそんな環境だったのかもしれませんね。
とにかくあらゆることが周りと同じようにできるようになっていることが一番大切なことであって、劣っている面がある場合にはそこが思い切りクローズアップされて評価されてしまうと感じているようです。
異年齢との接触の機会を増やすことが大切になってきます。
学校ではなかなかできないことです。
地域による集団登校で1年生から6年生までが一緒に登校することはとてもいいことです。
学校に入ってしまうとほとんどクラスの中でしか交流がありません。
もっと広い年齢層の人と接し、話をすることがとても重要になってきます。
モンテッソリーやシュナイダーなどの幼児教育においても、異年齢との交流はとても重要な要素となっています。
学校での交流が難しくなっている現状では、学外活動が異年齢の交流の役に立っていることがあります。
サッカーや野球のスポーツ少年団やリトルリーグは、学年を超えた交流を行うことができる場です。
異年齢交流を意識した指導者がいる場合には、とてもよい環境となるでしょう。
異年齢交流のメリットは計り知れないものがあります。
上級生は下級生に対して指導する立場になりますが、簡単には言うことを聞いてくれません。
言葉以外の伝え方を工夫したり、しばらく待ってみたり、いろいろなことを考えて行動するようになります。
ワンパターンでは不可能なことを経験していきます。
やがて上級生同士の間で、得意分野による役割分担ができてきます。
下手な指導者よりもよほどしっかりしたリーダーができていきます。
下級生は、徐々にわがままだけではいけないことを学んでいきます。
そして、身近に目標とする先輩ができてきます。
ひとたび目標とすると、そのすべてを真似ようとします。
真似られる方は細かなことまでを真似られるので、普段の態度までがそれにふさわしいものになっていきます。
上級生と下級のいい緊張関係の中での異年齢交流は、子どもたちを大きく成長させることができる絶好の機会となっています。
レベルの高い、競争の激しいスポーツクラブなどではこうはいかないと思いますが、地域にあるスポーツ少年団や子ども会では地味ながらもこのような活動が継続されているところがあります。
指導者、父母、地域が一体となって子どもたちを成長させてくれる環境は得難いものです。
特に幼稚園から小学校中学年頃にかけては、子どもの成長においてあらゆる面で一番大切な時期です。
飼い犬のように躾られた子どもよりも、元気に走り回る子供たちと挨拶をかわしたいものです。
そうすれば、お互いに気軽に注意することができ、受け入れることができるはずです。
新一年生が、そろそろ学校に慣れてくるころです。
行き返りに合ったら、気軽に声を掛けてあげたいですね。
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