2013年10月20日日曜日

外国生まれの理論の落とし穴

外国生まれの理論に触れることが増えてきました。

マーケティングをはじめ、コーチングやメンタルケア、モチベーションアップなどビジネスのマインドに関することは、ほとんどが外国生まれの理論のようです。

いろんな場面で聞いたり読んだりしたりしますが、自分の中でどうしても「?」となる部分があります。


それを確認したくて、トレーナーの養成講座やベテラントレーナーの講演を聞いたりしましたが、それでも素直に腹に落ちてこない部分が残ります。


単なる知識として持っている分には問題はないのですが、それをツールとして使いこなそうとすると根本的なところで受け入れられない何かを感じるのです。

この感覚を私がふつうの人とは違っていて、おかしいんだろうなと思っていました。


外国と言っても実際には、ヨーロッパかアメリカがほとんどです。
この手のもので中国やインドのものに触れることはなかなかありません。
日本独自のものもあまり見ないと思われます。



そんな時に触れることができたのが、角田忠信著の「日本人の脳」(1978年)です。
なんと、35年前に出版された本です。

言語学者であり脳外科の医者であり脳の障害における言語障害への影響を研究した人です。
様々な検証をたくさんしており、日本人の言語に関する独特の感覚と外国人(特に欧米人)と比べた脳の機能の違いを述べています。

特に左右の脳における機能の違いが、日本人独特のものであることを実験から導いており、詳しくは分からなくともこれが自分の違和感の元だなとピンときました。



通常の人の言語をつかさどる言語野は左脳にあるものですが、人にとってはごく希に右脳にある人もいるそうです。
そのような個人差も認めたうえでの観察実験の統計的な傾向は、信頼するに足るものだと感じました。

文章の難しさもあり、全部読み切るには頭が疲れます。


その中で日本人と欧米人の左右の脳の機能に違いがあるのは、幼児期に身につけた基本となっている言語にあることを指摘しています。
まさしく母語のことです。
生まれた国や国籍に関係なく、幼児期に形成された基本言語によって脳の機能が決まっていくことを発見したのです。

そのなかでも特筆すべきことが、日本語を母語とする脳が欧米語を母語とする脳と決定的に異なる機能があることです。




言語が左脳によってつかさどられていることは共通ですが、言語の音としての母音(単独母音)を認知をしているのが、日本人は左脳であり、西洋人(欧米人)は右脳となっています。

更に特徴的なことは、自然的に発生してる音に対しての認知です。
鳥や動物の鳴き声や虫の声、風の音や波の音やハミングなどを日本人は言語と同じ左脳で認知しますが、西洋人は雑音や機械音と同じく右脳で認知します。


邦楽・雅楽については自然との調和を大事にしますので、オープンな舞台・外気とつながった空間での演奏が多いのですが、西洋音楽については外気を遮断した物音を立てない空間での演奏が多くなっています。

雑音同士がぶつかるととても気持ち悪い音として感じられます。
言語同士がぶつかってもそれぞれ違いを理解することができます。


自然をあらわす言葉や風や空気に色や匂いがあったりするのは、日本語独特の感性なのです。
西洋から持ってきた理論が、理論では理解できても、実際の運用の場面で上手くいかないことが多くあるのは、基本的な言語からくる脳の使い方の違いに原因があると思われます。


西欧の理論や考え方を学ぶのは大変いいことだと思いますが、そのままの理論が日本人に当てはならないことを十分に承知しておく必要があります。
思考は言語でしかできません。
つまりは、言語を源とする特徴はすべて思考の特徴でもあるのです。

特に西欧では共通であっても、日本人だけが異なった特徴を示すことが多々あるのです。

日本語は2000年の歴史のタイムカプセルである「ひらがな」を持つと共に、あらゆる言葉に訳語として対応してきた漢字・カタカナ、さらには直接利用するためのアルファベットとを持っています。

世界最強の言語と言っていいと思います。

西洋の論理で、日本にも通用しそうだと言って、ありがたがって持ってきてもダメなのです。
もう日本人は世界の先端論理や基本原理については十分に学びました。
国としてのインプットは充分なのではないでしょうか。

いまこそ、全体として世界へアウトプットするときではないでしょうか、
日本独自のものが、世界の求めているものがたくさんあるはずです。
もっと日本語を知り、日本を知れば違いが見えてくるのではないでしょうか。

ますます、ひとりずつのアウトプットが大切になってきますね。